改革派神学研修所の概要
本研修所は神戸改革派神学校とはまた別の必要性から有志立で始まった神学研修機関です。入学する神学生の生活の多様化に応えるため、寄宿舎による共同生活に拠らない教師候補者の育成と教会の現場での訓練を中心にプログラムが組まれてきました。
また、関西方面に神学の拠点を集中させるのではなく、より多くの献身者を送り出してきた関東圏に拠点を置くことで、両者の相互研鑽を活性化させることを期待しています。研修所には専任教授はおらず、皆、現場で働く牧会者です。その現場での牧会経験と説教の積み重ねが、それぞれの担当する専門領域を通じて神学生に届き、一方的な講義に終わらない共同研究による内容の充実を狙います。
小会の推薦を受けて教師候補者に登録された方(予想される方)のために以下の授業を行います。他教派の方でも教会(牧師)の推薦があれば講義を聴講することは可能です。また、CS教師や教会役員のため、牧師の相互研鑽に用いられることを願っています。現在のところZoomを用いたオンラインでの授業を主に行っています。
改革派神学研修所の歴史
「改革派神学研修所 Tokyo Reformed Theological Institute」は多くの献身者を送り出してきた首都圏の教師・長老たちの強い願いによって、1974年に開設され、今日に至るまで24名の教職を送り出してきました。
当初の「設立趣意書」に名を連ねた運営委員は、矢内昭二、竹村修、榊原康夫、岩永隆、長田秀夫、牧田吉和の6名の教師に加えて、松田英一、江尻良一、中山奥行、牧野幹男の長老たち4名です。
日本基督改革派教会が日本基督教団から離脱して新教派を立ち上げて間もなく、神戸の中央神学校を引き継ぐ形で「神戸改革派神学校」が1947年に設立されましたが、大会立(教派立)の神学校が抱える様々な問題が議論される中、教会の土台である信条に堅く立ちながらも、神学校とは異なる方針で教職者を要請する教育機関の在り方が模索され、有志を集めて研修所が設立されました。
開所式が行われたのは1975年9月16日で、専用の校舎を持たないで教会での教授をモットーとするところから、東京恩寵教会と東京教会を教室として、火曜日から金曜日に及ぶ日程で実践神学・教義学・聖書学の各講座が毎日90分授業を2コマを行うカリキュラムで開かれました。
当初の所長は東京教会牧師の矢内昭二教師で、受講者は1~6名、全科目を受講した生徒は1人でした。運営は教師6名と長老4名からなる運営委員会が執り行い、その下で東部中会の教師たちによる教務部会と財務を執り行う事務部会が具体的な働きを分担しました。有志立であることを特に志したため財務はすべて賛助金によって賄われて今日に至ります。
当初は「東部中会牧師研修所」という仮の名があったほど東部中会の尽力による研修所でしたが、1980年には仙台教室が設置されて前神学校校長の吉岡繁教師が室長に就任します。1990年には矢内昭二教師から岩永隆教師へと所長が交代し、仙台教室も1993年には吉岡繁教師から尾形秀夫教師に代わります。
2003年には神学校と同等の3年3か月カリキュラムを作成し、4科目1200コマの授業を行うコースが整えられました。このように世代を継いで教師候補者に対する教育と牧師の相互研鑽に奉仕して、今年2024年、研修所は50周年を迎えました。
基本方針
- 改革派神学研修所は、日本キリスト改革派教会政治規準第121条3項に定められた、東部中会・東北中会・東関東中会承認の改革派教会の教師を養成する神学教育機関です。また教師の生涯教育と一般信徒の教育機関でもあります。
特に社会と教会の状況が激変する首都圏、および東北地方の精神風土の中で福音を伝えることのできる伝道者を養成するというニーズに応え得る神学教育機関を目指しています。 - 研修所は有志立です。研修所運営は、研修所の趣旨に賛同する兄弟姉妹ならびに諸教会のご協力によって支えられます。そのため、必要な経費はすべて有志の自由献金でまかない、全大会的に募金を訴えます。
- 研修所は、土地・建物・寄宿舎などを持ちません。会場を提供してくださる教会を教室として使用させていただいています。
- 研修所は、研修所の趣旨に賛同し、賛助金(年額一口5,000円以上)を納めることをもって、だれでも所員となることができます。所員になると、何科目でも受講することができます。
- 研修所は、本人の願い出と中会の教師候補者管理並びに試験委員会の委託を受けて、教師候補者の神学教育を行います。この場合教師候補者は研修所の正科生となり、教科書代と交通費を全額支給されます。そのほか奨学金を受け、勉学に専念することが出来るよう配慮されます。
- 研修所の神学教育は牧師が務め、無給を原則とし、「教授する」という上下関係の知識伝達よりも、共同研修という形と精神を重んじます。また学生は教会生活と奉仕の中で、主キリストと教会に仕える道を習得していきます。